土の器工房で作られている器について
何焼きですか?
イベントや展示会などで『何焼きですか?』とよく聞かれるのですが、私は色々な土や技法を、その時の作りたい物にあわせて選びますので、『○○焼』とかは意識した事がありません。
お客さんに『何焼きですか?』と聞かれた時は、『創作です』と答えるようにしています。
西条粘土
- 西条粘土の原土
色々な土を使いますが、主に使う土は決まっています。
広島県の東広島市、賀茂台地で採掘される『西条粘土』です。
この土を使う理由は、やはりこの工房が広島県にあるので、広島の土を使いたいと思っているからです。
もうひとつこの西条粘土を使う理由として、ロクロ挽きしやすいということです。コシがあるので薄く作ることが出来ます。
- 賀茂台地は空が近い
私の器の特徴である、軽くて扱いやすい焼き上がりは、この西条粘土の特長によるものなのです。
賀茂台地で西条粘土を採掘・精製・販売をされている業者さんの所まで、私の住む安浦町から車で30分で行く事ができます。
こんな近くに良質の粘土があることについて、私は恵まれた環境にいるといつも感謝しています。
かすれた白化粧
- 粉引小鉢
私は主に、細かい砂が入った西条粘土に白化粧をした器を作っています。その中でもかすれた感じで、茶色いコゲの出ている白化粧の器を多く作っています。
このかすれた感じは、使い込まれたアンティークな雰囲気が出したくて、わざと作り出しています。
ずっと以前からそこにあり、ずっと使われていた、そんな身近な存在の器でありたいと願い、このかすれた白化粧の器を作っています。
白い器
- 楕円中皿
最近チャレンジしているのが、白い器です。
装飾は一切無し、形だけでの表現。真っ白な器は料理栄えがとっても良いです。
その反面、器を作る作家としてはその個性を出すことが難しくなります。しかしながら、私はシンプルな器が好きです。そのシンプルの極限である、この真っ白な器を、自分なりに表現できたらと思います。
手作りのゆらぎ
私の作る器は結構アバウトです。寸法も全ての器がちゃんと揃っているわけではありません。少し大きいもの、あるいは少し小さめ、色も多少違うものもあります。
寸法・形・色など、ちゃんと規格を決め、それに合わないものをはじく事もできますが、そうするとコストが上がり、販売価格も上がるので普段使いの器として、気軽に扱えなくなってしまいます。
私はこの違いを手作りのゆらぎとして認め、それどれの個性を楽しんでいただけたらと思います。
扱いやすい器を目指して
- ご飯茶碗の重量
- 幅広の取っ手
- 凹みの付いたカップ
普段使いの器は、扱いやすいものが良いと思います。
私も自分なりに考えて扱いやすい器を作っているつもりです。その一例をここに紹介します。
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いつも手に持つご飯茶碗などは、軽いに越した事はありません。
私の作るご飯茶碗は一見どっしり見えますが、実はそれほど重くはないのです。この140g前後の数字は、実際に手に取って見ると、見た目以上に軽く感じると思います。 -
カップなどは少し厚めの作り方が保温性がよいです。
でも手に持つものですから軽いほうがよい。 この矛盾に答えるために、マグカップなどは取っ手を幅広にしてあります。こうする事で手に取った時安定感があり、軽く『感じる』ことができるのです。 - ふっくら丸みのあるカップは、少し持ちにくいですね。
下手をすると手をすべらせ、落としてしまう事も。。。それを解決するためにカップに凹みをつけてみました。ここに親指を乗せれば、すべる事もなく安心して持つ事ができます。
普段使いの器たち
私が現在、主に作っている器たちです。
日常生活の中で、いつもそばに置いて使っていただきたい器たちです。
- 麦藁フリーカップ
- ロクロ目フリーカップ
- 粉引マグカップ
- 粉引ご飯茶碗
- 麦藁ご飯茶碗
- 粉引片口小鉢